住宅ローンの返済に困ったら?返済の延長は可能?
ローンを組んで住宅を購入したにも関わらず、「業績不振で、ボーナスがカットになった」「家族が病気になり、高額な医療費が必要となった」などの理由から、住宅ローンの返済に困るケースは実際にあることです。住宅ローン返済の延長はできるのでしょうか?今回は住宅ローン返済の延長ができるケースと、できないケースについて解説します。
リスケで返済期間を延長できるケースがある
結論から述べると、住宅ローンの返済延長はできます。最もメジャーな方法の一つが、リスケです。リスケとはリスケジュールの略称で、各金融機関へのローン返済計画を変更することを指します。
資金繰りが難しくなり、ローンの返済に困ったときに、金融機関との話し合いによって、これまでの支払い条件を変えてもらえます。具体的な内容は「返済期間を延長してもらう」「当分の間、毎月の支払額を減額してもらう」などです。ただし、リスケに応じてもらえるかどうかは金融機関次第。リスケの主な条件や減額内容などは次の通りです。
リスケの条件
先に述べたように、リスケに応じるかどうかは金融機関次第です。たとえば「返済能力がほとんどない」と判断されてしまうと、リスケに応じてもらえる可能性は低くなってしまうでしょう。リスケに応じてもらえる可能性が高い主な条件は、次のようになっています。
・新しい借り入れの予定を持っていない
・安定した収入が期待できる
・住宅ローン返済の困難が、一時的なものである
リスケをした後、新しい条件のもとで住宅ローンを返済できる目途を立てられるかどうかが、応じてもらうためのポイントといえるでしょう。
減額できる範囲
減額できる範囲に決まりはありません。あくまでも金融機関ごとによって決められます。一般的には「少しの元金+利息」となるでしょう。ただし交渉次第では、元金を0円にできるケースもあります。
返済猶予できる期間
基本的にリスケで返済猶予できる期間は、半年~1年です。仮に1年以上のリスケが必要だったとしても、まずは半年や1年で猶予期間を設定しておき、期間が過ぎるタイミングで延長するケースが少なくありません。
返済期間が延長できないケースとは
一方で、以下のようなケースの場合は、返済期間を延長できない可能性が高まります。
返済期間が延長できないケース①:住宅ローンをすでに滞納している
まずはすでに住宅ローンを滞納していることです。すでに滞納していたり、金融機関からの連絡や督促状を無視していたりするケースでは、リスケをしたとしても、住宅ローンの返済が難しいと判断されてしまうでしょう。
返済期間が延長できないケース②:完済年齢を超えてしまう
リスケをしたことで、ローンの完済年齢を超えてしまうことも、返済期間を延長できない可能性を高めてしまうでしょう。そもそも完済年齢は延長できないだけでなく、高齢になればなるほど、返済能力も低くなると金融機関が判断するためです。完済年齢は住宅ローンによって異なるものの、一般的には70歳~80歳の間で設定されます。
返済期間が延長できないケース③:返済期間が35年を超えてしまう
最後は返済期間が35年を超えてしまうケースです。もともとの住宅ローン返済期間が35年だったり、リスケによる延長の結果、合計返済期間が35年を超えてしまったりするような場合、金融機関は基本的にリスケに難色を示します。他の方法を提案されるかもしれません。
住宅ローンで困ったら…
「金融機関にリスケをお願いしたけれども、断られてしまった」「仮にリスケが適用されたとしても、住宅ローンの返済が難しい」といった状況の場合は、任意売却を検討してみるとよいでしょう。任意売却の概要は次の通りです。
不動産を市場に近い相場で売却できる
任意売却とは住宅などの不動産を、市場に近い相場で売却できる方法のことです。売却して得られたお金を、ローンの返済へ回します。住宅ローンを滞納し続けると、やがて競売にかけられるでしょう。競売による売却額は、相場の約7割。たとえば郊外にある住宅の場合は、相場の約6割にまで下がってしまう可能性もあります。
リスケにはない任意売却のメリット
任意売却が持つ最大のメリットは、住宅ローン返済問題を根本的に解決できることです。たとえばリスケができたとしても、その後のローンを返済するための資金繰りができないと意味がありません。再び滞納することとなり、また何かしらの手段を考える必要が出てくるでしょう。
一方で任意売却の場合は、住宅を手放すことにはなるものの、売却で得たお金をローン返済に充てられます。残債があったとしても、返済はずいぶんと楽になるでしょう。一方で資金繰りが一時的なものの場合は、リスケが有効です。住宅を売却する必要がありません。
住宅ローンの返済に困った場合、リスケという方法が取れるかもしれません。金融機関との交渉次第ですが、返済期間を延長してもらったり、当分の間は返済額を減らしてもらったりが可能です。ただしそもそも返済能力がない場合は、リスケをしても根本的な問題解決にはならないでしょう。任意売却など、他の方法を検討してみることも大切です。