任意売却後、住宅ローンの残債はどうなるの?
住宅ローンを使って住宅を購入しても、何かしらの事情からその後のローンを支払うのが難しくなることもあるでしょう。任意売却をすると相場に近い価格で住宅を売れますが、それでも住宅ローンの完済に届かないケースも存在します。任意売却後、住宅ローンの残債はどうなるのでしょうか?今回は任意売却後のローン残債について解説します。
任意売却と住宅ローンの関係とは
任意売却は住宅ローンの支払いが難しくなった場合に取れる、対処法の一つです。一般的にローンの支払いが滞ると、金融機関から支払いを催促する連絡が来ます。それでもなお支払いが滞ると、裁判所から呼び出しがかかるでしょう。そして最終的に住宅は競売にかけられて、強制退去となるのが通常です。
競売は任意売却や通常の売却方法と比べて、売値価格が安くなる傾向にあります。実際に回収できる金額は、本来価格の5割程度と思っておきましょう。また競売にかけられると引越しが強制され、仕事や学校などにも大きな影響を与ええます。経済面や生活面、精神面のすべてにおいて負担がのしかかってくるでしょう。
一方の任意売却はさまざまな面で不利となる、競売を避けるための方法です。借り入れをしている金融機関からの承諾を得られれば、通常の方法と同じように物件を売却できるようになります。市場に近い価格で売却できるので、住宅ローンの完済にも大きく役立つはずです。
さらに貸し手である金融機関にとっても、借金を回収できる可能性が高まるため、大きなメリットとなります。ただし任意売却をするためには、金融機関の承諾が必須です。抵当権が設定されているので、必ず承諾をもらわなければいけません。またケースによっては、金融機関が任意売却を認めないことも考えられるでしょう。任意売却は一般的に、以下のようなステップで行われます。
①金融機関からローン返済の督促がある
②金融機関と協議をして、現状を伝える
③不動産会社を選定し、価格を査定してもらう
④債権者に確認をする
⑤任意売却がスタートする
⑥売却されれば、売買契約をする
⑦不動産の決済と引き渡し
⑧ローン残債を返済する
任意売却した後のローン残債について
任意売却ができたとしても、売却額によっては住宅ローンに残債が発生するかもしれません。売却後の残債はどのようにあつかわれるのでしょうか?
基本的には返済は免れません。残ったローンも完済する必要があります。これまでに払っていなかった分に対して遅延損害金が発生していたり、元々の残債務に金利が発生していたりして、トータル金額が大きくふくらんでいるケースもあるでしょう。ただでさえ支払いができなくて任意売却をした状況なのに、残債をそのまま請求されてしまうと、多くの人は大きな負担を強いられてしまいます。
また債権者側としても、無理に返済を迫ったことで自己破産をされてしまうと、大きな被害を被ってしまいます。そのため実際には、残債を一度に請求するようなことはしません。毎月どのくらい返済していくのかを直接交渉をして、具体的な金額を決めていくことになります。交渉する相手は、これまでに貸付けをしていた金融機関ではありません。金融機関から債権を引き継いだ、債権回収会社が担当となります。
任意売却は悪手か
これまで解説してきたように、任意売却は一般的な売却方法と変わりありません。金融機関の承諾は必要となるものの、競売と比べて市場に近い金額で物件を売却できるのは大きなメリットといえるでしょう。ただし、以下の点については注意してください。
信用に傷が付く
ブラックリストという言葉を、耳にしたことがある人が多いかもしれません。実際はブラックリストというリストは公に存在しませんが、ローンやクレジットカードの返済が滞ったり、自己破産したりすると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。
事故情報のことを一般的に、ブラックリストと指すのです。任意売却はそもそも住宅ローンの返済が滞った状態で行われるため、滞納した時点でブラックリストに登録されます。任意売却が行われた後も残ります。ブラックリストの情報は一定期間が過ぎれば消えますが、その間は新しく借り入れなどはできないことを知っておきましょう。
タイムリミットを過ぎると競売に切り替わる
任意売却にはタイムリミットがあります。具体的な期間はケースによって異なるものの、一般的にはローン返済を滞納してから10カ月~12カ月ほどです。任意売却にかけてもタイムリミット内に売却がされないと、強制的に競売に切り替わってしまいます。そのため焦って、市場よりも安値で売却してしまう可能性も考えられるでしょう。
任意売却とはローン返済ができなくなってしまった物件を、金融機関の承諾を得た上で売却する方法のことです。競売よりも市場に近い価格で売却できるため、ローン返済の大きな資金を得られるでしょう。残債は任意売却後も返済しなければいけません。債権者と相談して、毎月支払える返済額を設定するのが一般的です。