任意売却で引越し代は出してもらえる?引越し代が出ないことはある?
購入した住宅のローンを支払えなくなったとき、任意売却をして売却金額をローンに充てる方法があります。競売よりも相場に近い価格で売却できるのが、大きな魅力です。任意売却で自宅を出る際、引越し代は出してもらえるのでしょうか?今回は任意売却にともなう引越し代について、出してもらうためのポイントなどと一緒に解説します。
任意売却で引越し代はもらえる?
結論から述べると、任意売却で引越し代を債権者から出してもらえることはあります。反対に、出してもらえないケースもあり、一つひとつのケースによって変わってくるのが実際のところです。
債権者が引越し代を出してくれる理由
たとえば不動産の売却額がローンの残債より低かった場合でも、引越し代を出してもらえるケースがあります。いったいなぜ、債務者はわざわざ自分の財布からお金を出してくれるのでしょうか?
債権者が一番求めているのは、ローン残債務をできるだけ早く、そしてできるだけ確実に回収することです。冒頭でも述べたように、任意売却では競売よりも市場に近い金額で売却できます。売買契約が成立すれば、債務者は物件から立ち退かなければいけません。
しかし、ローンの支払いが滞っている債務者の多くは、引越し費用さえ満足に捻出できないこともあるでしょう。引越しができないとその分だけ、債権者はローン残債の回収が遅れることになります。そのため、債権者はできるだけ早く引越してもらうために、あえて引越し代を出してくれるのです。
引越し代が出る主なケース
以下のような状況に当てはまる場合、任意売却時に引越し代を出してもらえる可能性が高まります。
・引越し代を捻出できず、頼れる身内もいない
・引越し代を捻出したくても、売却できるものが残っていない
・不動産会社が債権者に上手く交渉をしてくれた
・引越し代の捻出が難しいことを、債権者が理解をしてくれた
上記のケースはあくまでも、出してもらえる可能性が高いという意味です。実際に出しもらえるかどうかは、最終的に個々のケースに応じて債権者が判断します。
引越し代の相場は10万円~30万円
実際に出してもらえる引越し代の相場は、10万円~30万円ほどです。
任意売却で引越し代を出してもらうには
任意売却で引越し代を出してもらうためには、債権者と交渉しなければいけません。交渉する際のポイントを、全部で4つ見ていきましょう。
交渉のポイント①:引越し代の捻出が難しいことを隠さない
1つ目は、引越し代の捻出が難しい旨を隠さないことです。引越し代を出すか出さないかは、債権者の判断次第。そもそも出す義務はないため、出してくれる場合は債権者の善意によるものです。
余計な見栄を張らず、引越し費用を出す金銭的な余裕がないことを、素直に債権者へ伝えましょう。事情を理解してもらえれば、引越し出しを出してもらえる可能性が高まります。
交渉のポイント②:出してもらえる引越し代の相場を理解しておく
先で述べたように、出してもらえる引越し代の相場は10万円~30万円ほどです。無制限に出してもらえるわけではありません。たとえば、引越しに50万円かかったとしても、全額を支給してもらえるわけではないため、事前に理解しておきましょう。
交渉のポイント③:債権者から信頼や好感を持ってもらえるような対応をする
引越し代を出してくれるのは債権者の善意です。たとえば、「任意売却によって引越し代を出すのは当然」といった態度で交渉をすると、当然のことながら債権者の気持ちを害してしまうでしょう。
たとえ引越し代の支払いにメリットがあったとしても、心情的な理由から出してもらえなくなるかもしれません。「出してあげよう」と思ってもらえるように、信頼や好感を与えるような対応を心がけてください。
交渉のポイント④:債権者との交渉に慣れている不動産会社にお願いする
任意売却の手続きをしてもらう不動産会社に、債権者との交渉をお願いする方法もあります。不動産会社と一口にいっても、債権者との交渉に慣れているかどうかは、会社によってさまざま。引越し代を出してもらうなら、交渉に慣れている不動産会社を選びましょう。
引越し代が出ないケースもある
下記に該当する場合は、引越し代が出ないこともあるでしょう。
・預貯金で引越し代を捻出できる
・引越し代を持っていないが、親族がまかなってくれる
・車や貴金属など、売却によって引越し代に換えられるものを持っている
・債権者との交渉が上手くいかなかった
基本的には、何かしらの方法で自分で引越し代を捻出できる場合、債権者は出してくれないと思っておきましょう。また交渉が上手くいかなかった場合も、あたり前ですが引越し代は出してもらえません。交渉が成功の可否を決めるといっても過言ではないため、慎重に行う必要があります。
任意売却で引越しが必要となった場合、債権者によっては引越し代を出してくれます。ただし、基本的には引越し代の捻出が難しい場合のみです。また、出してもらえるかどうかは債権者の判断次第となるため、できるだけ慎重に交渉を進めていく必要があるでしょう。