税金滞納で差押えになる?任意売却にも悪影響があるってホント?
「資金繰りが悪く、税金を滞納してしまった」「支払期限のことを失念して、うっかり税金滞納をしてまった」といったような場合、動産や不動産といった財産が差押えられる可能性があります。差押えられるとどうなってしまうのでしょうか?今回は税金滞納による差押えについて、任意売却への影響と一緒に解説します。
税金を滞納したらどうなる?
税金と一口にいっても、さまざまな種類があります。主なものは次の通りです。
・国税・・・所得税、贈与税、相続税、消費税、復興特別所得税、酒税
・地方税・・・住民税、固定資産税、不動産取得税、都市計画税、法人事業税、個人事業税
税金を納めるのは国民の義務であると、日本国憲法で定められています。もし定められた期日までに納税をしないと督促状が発行され、滞納となるでしょう。1日でも過ぎると、滞納あつかいとなります。
「国税徴収法第47条」と「地方税法第331条」では、督促状の発行から10日を過ぎても納税されなければ、財産を差押えられると記されています。ただし実際には、10日を過ぎたからといって、すぐに財産が差押えられるわけではありません。最短で2カ月ほどかかるといわれているため、差押えまでにはある程度の余裕があるといえるでしょう。
差押えの前に、電話や訪問による身辺調査が行われます。家族構成や戸籍、勤務先の情報などの調査と同時に、金融機関などに関する財産調査も実施。財産があると判明すると、財産を差押えられる流れです。
差押えられる財産
財産の中には差押えられるものと、差押えられないものがあります。差押えられる主なものは給与や銀行にある預貯金、住宅や土地などの不動産、宝石や車などの動産、債権などです。とくに差押えられやすいのが、給与と預貯金です。給与と預貯金は差押えにかかる手間や費用がさほどかからず、債権者としては確実に債権回収につながります。
反対に住宅や土地といった不動産を差押えるためには、裁判所による調査や競売などを経る必要があり、費用や手間がかかってしまいます。そのため不動産に関して、債権額が高額だったり、競売によって債権を確実に回収できたりする場合に限って、差押えられるケースが通常です。
差押えられない財産
「国税徴収法第75条」では、差押え禁止に関する財産を定めています。生活に必要な衣類や寝具、家具、実印、仏像、位牌、学習用具、仕事道具などは、差押えられません。
差押えになるとどうなるのか
差押えられた動産や不動産は、公売にかけられます。また債権に関しては取り立てが行われるでしょう。公売では相場の7割~8割ほどの金額で売却され、売却で得られたお金が債権者に渡されます。
財産を差押えられないために事前にできること
滞納によって財産が差押えられないためには、どうすればよいのでしょうか。主な方法を全部で2つ見ていきましょう。
財産を差押えられないために事前にできること①:行政や税務署に相談する
最も基本的で大切なことの一つが、行政や税務署に相談することです。できれば税金を期日までに支払えないとわかった段階で相談をしてください。「いまは資金繰りが悪くて納税できないけれども、納税する意思はある」旨を伝えましょう。
個々のケースにもよりますが、分割納税や一定期間の納税猶予をしてもらえる可能性があります。とくに督促状が届いたにも関わらず、無視を続けるのは絶対に止めてください。悪質なケースと判断されてしまいます。
財産を差押えられないために事前にできること②:債務整理をする
滞納する税金以外にも債務がある場合、債務整理をしましょう。債務整理とは法的な手続きに則って、借金問題を解決する方法を指します。主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、個々の状況に合わせた方法を取ることで、借金問題をスムーズに解決できるようになります。
任意売却する際は差押えの解除が必要
任意売却とは住宅といった不動産を売却して、売却金の中から滞納している税金や債務を返済する方法のことです。競売と異なり、市場に近い価格で売却できるのは特徴となっています。
ただし住宅がすでに差押えられている場合、差押えの解除をしないと任意売却はできません。解除の判断は各市区町村によって異なるものの、基本的には滞納している税金の全額を納付する必要があります。
ただし滞納額が少額の場合や、交渉によって滞納分の一部を支払うことで、差押えの解除を認めてくれることもあるでしょう。交渉に応じてくれるところもあれば、一切応じてもらえないところもあるので、まずは行政に相談してみることが一番です。
税金を滞納し、督促状の発行から10日を過ぎても支払いがされないと、財産が差押えられる可能性が高まります。給与や預貯金、住宅、車といったものが差押えられるかもしれないので、注意してください。
税金の支払いが難しいとわかった段階で、行政や税務署へ相談することが大切です。差押えられた住宅を任意売却するためには、差押えの解除が求められます。市区町村によって解除の判断が異なるため、それぞれで確認してみるとよいでしょう。